多くの企業の場合、正式に採用するまでに試用期間というものが設けられています。
「まだ試用期間中だけど自分に合ってない…」
「こんな会社だと思ってなかった、辞めたい」
「上司と合わない」
など、実際働いてみると思っていたのと違ったり、不満を抱くこともありますよね。
今回は、試用期間とは何か?試用期間中に退職するメリット・デメリットについて紹介していきます。
そもそも試用期間とは?なんのためにあるの?
試用期間とは、会社側が面接や書類ではわからない社員としての適性を見極めるためのテスト期間のことを言い、
一般的には1〜6ヶ月程となっています。テスト期間ではあっても最低限の権利は保障されます。
・企業側のメリット
数回の面接ではわからなかった適性や能力を見極めることができます。
もし適性がないと判断される場合、正当な理由があれば解雇することができます。
正社員と比べて「正当な理由」の範囲が少し緩やかになっているのです。
例えば「勤務態度が極めて悪い」「遅刻・無断欠勤等を繰り返す」「学歴・職歴詐称が発覚した」などがあります。
・求職者側のメリット
本採用ではないため、正社員とは待遇が異なると思っている方もいるかもしれませんが、
実は試用期間中も正社員と同じ待遇を受けられます。
退職する際の条件も正社員と同じですが、まだ自分の担当業務が割り当てられていないことが多いため、
業務の引き継ぎなどがなく比較的スムーズに退職ができます。
試用期間中に退職するメリット
・辞めるなら早いほうがいい場合もある
入社してみたら言われていた労働条件と違った、毎日残業が多い、仕事をろくに教えてもらえないなど、
解決策がなくこのまま続けていくのが不安な場合は早めの決断をおすすめします。
「仕事を辞めたい」という気持ちのままで続けてしまっては、スキルも思うようにつかないこともあります。
年齢や勤務年数が上がるにつれて、即戦力が求められる為、勤務年数相応のスキルが身についていない場合、転職が不利になります。
転職するのであれば、早い方が年齢的に有利になりますし、新しい企業に入社した後も順応性が高いです。
・ストレスや心身の不調から解放される
退職することによって、今抱えているストレスから解放されます。
入社後、人間関係や慣れない仕事内容などから体調に異変をきたすことがあります。
(吐き気、頭痛、めまい、不安感、不眠など…)
ストレスを抱え込んだまま仕事を続けていくと、うつ病、自律神経失調症などになってしまう危険性もあります。
どんなに頑張って仕事を続けても、心身を壊してしまっては元も子もありません。
仕事ができない状態にまでなる前に、退職の決断をすることも大切です。
試用期間中に退職するデメリット
・転職に不利になるリスクがある
短期離職の一番大きなデメリットは「短期離職を繰り返すかもしれない」と思われてしまうことです。
それは次の転職先のみに限らず、その後の転職も難しくなってきます。
転職先の面接官は「試用期間中の退職」をしたという事実から、「うちの会社もまたすぐ辞めるのでは?」といった不信感や、
忍耐力がたりない、順応性がないという風に捉えてしまうこともあります。
納得させられる前向きな理由を準備しておくことが大切です。
・雇用保険の加入履歴が残り職歴が汚れる
雇用保険に加入していた期間がどんなに短くても、加入履歴は残ります。
履歴書などに職歴を書かなければいけない、という決まりはありませんが、入社までに申告せず、
入社後に発覚した場合は「経歴詐称」となる場合がありますので注意してください。
試用期間中に退職する際の注意点
・退職意思は上司に直接、口頭で早めに伝える
試用期間の間は担当している業務が少ないと思いますが、企業側としては後任を早く見つけないといけない為、早めに伝えることが大切です。
退職の意思が固まったら、退職したい日の1〜2ヶ月前に直属の上司に口頭で伝えましょう。
退職の意思表示をいつまでに行うかは、会社の就業規定によって定められていることもあるので事前の確認が必要です。
面と向かって話すのは気まずいと感じるかもしれませんが、社会人として電話やメールは避けましょう。
上司との話し合いで退職日が決まったのち、退職届を提出します。
・転職先はより慎重に選ぶ
短期間での転職は、先ほども述べた通り転職で不利に働きます。
転職先でもミスマッチが起きてしまい2回、3回と転職を繰り返していてはさらに印象が悪くなります。
また、離職期間が長くなれば金銭面の不安がでてきてしまいます。
転職を繰り返さないためにも、転職先の企業研究や自己分析をしっかりと行い、ミスマッチを防ぎましょう。
・転職先には退職理由をポジティブに変換して伝える
給与、人間関係など、前の職場の不満や批判、悪口を言ってしまうとマイナスなイメージにつながるのでNGです。
会社のせいにしてしまうと「他責思考」が強いと思われてしまうこともあります。
スキルアップや、専門的な業務がしたい、と言ったような前向きな理由は素直に話すのが良いでしょう。
将来どのような働き方がしたいか自分でしっかり分析し、志望動機と関連づけて話すことが大切なポイントです。
試用期間中の解雇ってあるの?
・解雇されるメリットデメリット
試用期間であっても、長期雇用を前提に雇用契約を結んでいるため、会社の都合で自由に解雇していいという訳ではありません。
正社員と同じように正当な理由がなければ解雇できないことになっています。
正当な理由の例には以下のようなものがあります。
・協調性がない、勤務態度が悪い
・無断欠勤・遅刻・早退を繰り返す
・経歴詐称をしていた など
このような理由から解雇する場合、会社側は30日以上前の解雇予告か解雇予告手当の支払いをする必要があります。
もしも解雇理由が不確かなものであり納得できないと感じた場合は、話し合いの機会を作り具体的な理由を聞くか、それが難しい場合は行政の相談窓口などに相談するのも良いでしょう。
解雇されることはショックなことですが、深追いせずに転職活動に取り組むことが大切です。
解雇される理由は人によって違いますが、「その仕事に向いていなかった」といことが多いようです。
そこでの経験から、自分の向いていること、やりたい仕事を見極めた上で転職先を探すことでミスマッチを防ぐことができます。
<まとめ>
試用期間中に限らず、短期離職をする際は転職活動において不利に働くことを頭に入れておきましょう。
ただ、「働いてみるとブラック企業だった」
「理由のないいじめや嫌がらせなどで思うように仕事ができない」
「この会社は自分と合わない」
などと思うことは珍しいことではありません。
その場合は次の転職先では何を実現したいのか明確にした上で転職活動をしていきましょう。
自分自身の反省点、これからに向けての前向きな目的を踏まえて退職理由もしっかり答えられるようにしましょう。
また、無理に続けて心身ともに壊してしまう前に、早めに退職という決断をすることもとても大切なことです。
転職をする際は、改めて自己分析や企業研究をして自分に合った転職先を見つけてください。