退職には「自己都合退職」と「会社都合退職」の2通りがあるのをご存知ですか?
実はどちらで退職するかによって、失業手当の給付期間や金額、退職金の金額に違いがあります。
また、退職後の転職活動の際にも与える印象が違ってきます。
そこで今回の記事では「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
自己都合退職と会社都合退職の定義とは
・自己都合退職とは
自分から希望して退職をすることです。
転職、結婚、病気や怪我、家族の介護等、勤務条件の相違などがあります。
※離職票に書かれている離職理由が納得できない場合、ハローワークで申し出ましょう。
パワハラ等が原因で退職を余儀なくされた場合、証拠があれば「会社都合」に変更してくれる場合があります。
・会社都合退職とは
従業員の意思に関係なく、会社からの働きかけにより退職することです。
会社の倒産、人員削減、退職を勧められる退職勧奨、解雇などがあります。
自己都合退職と会社都合退職の2つの違いとは?
①失業手当などの金銭的な保障内容の違い
会社都合でやめる場合、予測できないことも多いため自己都合でやめる場合より保障が手厚くなっています。
会社都合退職の場合、7日間の待機期間が経過すれば、すぐ失業手当がもらうことができ、最大支給日数も330日までと長くなっています。
対して自己都合の場合、7日間の待機期間にくわえ3ヶ月の「給付制限」があるため
3ヶ月断たなければ失業手当を受け取ることはできません。最大支給日数も150日となっています。
また退職金の支給額にも違いがあり、自己都合退職より会社都合退職の方が高くなる場合が多いようです。
②転職時に不利になるかどうかの違い
履歴書を記入する際、自己都合の場合の退職理由は「一身上の都合」と記載すればよいので
面接で聞かれた際も前向きな理由を考えてこたえることができます。
一方会社都合の場合は「会社都合」と記載します。会社の倒産などでは個人でどうすることもできませんが
解雇の場合、面接官から「なにか問題があったのか?」と疑われてしまい、転職活動において不利になる可能性があります。
自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリット
・自己都合退職のメリット
会社を辞めるまでに自分で準備ができ、辞めるタイミングを決めることができる点がメリットといえます。
また次の転職へ向け資格を取ったり、内定をもらった上で辞めることができます。
転職の際に聞かれる「退職理由」についても前向きに言い換えることで良い印象を与えることができ
会社都合退職に比べ、転職で不利になることは少ないと言えます。
ただし、転職回数が多い場合は「すぐに辞めるのでは?」と思われることもあります。
・自己都合退職のデメリット
転職先が決まっていない場合、退職後の収入がなくなってしまういます。
給付が開始されるのも7日間とさらに3ヶ月経ってからになっており、
最大支給日数も150日までなので失業手当の給付額が少ないということになります。
また、会社都合で辞めた場合より退職金が少なくなる傾向にあります。
・会社都合退職のメリット
自己都合の場合よりも失業手当を早く、長期間うけとることができます。
退職後の手続きから7日間経てば失業手当をもらうことができ、もし転職活動が長引いても最大で330日まで受け取ることができます。
退職金がある場合も自己都合に比べて金額が高いようです。
・会社都合退職のデメリット
転職の際、前職を辞めた理由として「実績不足で解雇された?」「何か問題を起こしたのか?」
などというマイナスなイメージをもたれることがあります。
会社都合退職の中には、会社の倒産によるものの他に、実力不足、問題を起こして解雇された場合などが含まれるため
企業側も警戒している場合が多いのです。
失業手当がすぐにもらえることや金額が多いことから、会社都合の退職を希望する人もいるようですが、
その後も一生「会社退職」という経歴が残っていくことも覚えておきましょう。
自己都合退職の準備や注意点
・会社への退職申告はいつ頃行う?
民法では、退職する14日前までに意思表示をすれば良いとされていますが、
引き継ぎなどを考えて1〜2ヶ月前には直属の上司に伝えましょう。
この時、退職届もしくは退職願を提出します。
退職願は撤回できるのにたいし、退職届は1度出したら撤回できませんので注意してください。
※会社都合退職の場合、退職届は必要ありません。もし必要となった場合、「一身上の都合により」と書いてしまうと
自己都合退職にされてしまうこともあるため注意が必要です。
・有給消化は早めの申告が基本
退職日、最終出勤日について話し合う時に、引き継ぎスケジュールとともに有給スケジュールも決められるよう、早めに伝えましょう。
できれば退職の意思を伝える時に「有給消化したい」ということも伝えておきましょう。
また、引き継ぎに必要な期間が十分取れるかどうか、ということは事前にしっかり確認しておき後任者に迷惑がかからないようにしましょう。
退職の意思を伝えるのが遅くなってしまった場合は、有給が取れない場合もあるのでしっかりと計画を立てる必要があります。
自己都合退職時の失業給付金(失業保険)の受け取り方
・失業給付金を受け取るための条件とは?
⑴雇用保険に加入していた期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上あること
ハローワークにて求職の申し込みを行い、
⑵再就職の意思・能力がああるのに就職できていない状態であること
会社は辞めたものの、ハローワークに行って求職の申し込みをしていない場合は失業状態とはならないため
失業手当はうけとれません。
・失業給付金を受け取れるまでの期間は?
自己都合で退職した場合、7日間の待機期間と3ヶ月の給付制限があります。
7日と3ヶ月就職活動を行っても転職先が決まらなければ、失業給付金がもらえるのです。
・失業給付金を受け取るまでの流れ
①ハローワークで求職の申し込み
まずは以下の持ち物を持ってハローワークに行き、雇用保険窓口で受付をします。
持ち物/離職票・雇用保険被保険用・印鑑・写真・身分証明証・預金通帳
書類が受理されれば7日間の待機期間に入ります。
この期間中は、仕事はもちろん求職活動もできません。
②失業保険の説明会へ
失業保険の説明会に参加し、求職活動計画書・雇用保険受給資格者証・失業認定申告書を受け取ります。
その後はハローワークで就職活動ができるようになります。
③失業保険の認定日
1ヶ月に1度ある失業保険の認定日には必ず出席します。
この認定日で失業状態であると認められれば給付金が振り込まれることになります。
ただし、認定日までに2回以上の求職活動をしている必要があるので注意してくだい。
<まとめ>
自分から退職を申し出たら「自己都合退職」会社に退職を求められたら「会社都合退職」となります。
それぞれにメリット・デメリットがあるのが分かりましたか?
「自己都合退職」の場合、退職金や失業手当の金額は減りますが、自分で計画を立てて退職ができます。
退職後に収入がなくなってしまう点は注意が必要です。
「会社都合退職」の場合は退職までにあまり時間がないことが多いですが、手続きを踏めば失業手当を退職の7日後から
もらうことができます。ただし転職の際に不利になることがあるので注意が必要です。
退職後、自分が損をしないためにも退職について理解しておきましょう。